動物の権利(アニマルライツ):レーガン
動物倫理について考えるときに重要となるのが、「ある存在」が持つ権利です。
「ある存在」をどのように扱うべきか、また扱うべきでないかを測る尺度となるためです。
トム・リーガン(Tom Regan、1938年11月28日 - 2017年2月17日)は、アメリカ合衆国の動物の権利論を専門とする哲学者。1967年から2001年まで、ノースカロライナ州立大学で教鞭をとった。1985年以来、彼は妻であるナンシー・リーガンと共に、非営利団体「文化と動物基金(Culture and Animals Foundation)」を創設。動物のための団結、知的·芸術的な努力の成長を促進することを目的とした活動を行っている。
レーガンは、
「根本的に人間と類似した精神活動を行えるような個体が権利の主体である」
としています。
のちにレーガンは「鳥も魚も生の主体である」としており、それによると人間は動物を利用すべきではありません。
動物の権利も人間のそれと同じように不可侵だからです。
救命ボートの思考実験
レーガンの有名な実験に、救命ボートの思考実験があります。
これは、人間四人と犬一匹の中から一人(一匹)を犠牲にしなければボートが沈んでしまうという状況の時、誰を犠牲にするのかという実験。
これまでの理論によれば、人間も犬も同様に不可侵の権利を有しているために選ぶ基準などないはずですよね。
でも、レーガンによると、選ばれるべきは常に犬なのです。
数は問題ではなく、人間の方が犬よりも多種多様な満足を得ることができる機能を備えているため、人間を生かすべき、というのが理由です。
不自然だと思いませんか?
ある存在の固有の価値(inherent value)が別の存在のそれよりも数が問題にならないまでに「高い」というのならば、「不可侵の権利」であるといえないのではないでしょうか。
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参考
田上 孝一(2017)『環境と動物の倫理』、本の泉社