動物の権利(アニマルライツ):カント
動物倫理について考えるときに重要となるのが、「ある存在」が持つ権利です。
「ある存在」をどのように扱うべきか、また扱うべきでないかを測る尺度となるためです。
イマヌエル・カント(Immanuel Kant、1724年4月22日 - 1804年2月12日)は、プロイセン王国(ドイツ)の哲学者であり、ケーニヒスベルク大学の哲学教授である。『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し、批判哲学を提唱して、認識論における、いわゆる「コペルニクス的転回」をもたらした。フィヒテ、シェリング、そしてヘーゲルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされる。彼が定めた超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
カントは、
感覚的存在一般を道徳的配慮の対象とする
としています。
カントは、ある存在を
責任能力をもつ「人格的なもの」
と
責任能力を持たない「物件的なもの」(「心」を持たないもの)
に分けることができ、
責任能力をもつ「人格的なもの」のみが権利を有する
と主張しています。
この場合、幼児などの責任能力を持たないある種の人間は「物件的なもの」であり、権利を持たないということになってしまいますよね。
そのため、権利を有する存在の定義を「自我がある存在」としなければならず、そうすると、今度は人間以下の存在、つまり犬猫、鶏豚牛などの動物にまで権利を拡張する必要が出てきます。
動物の権利論では、権利が人間以外の存在にまで適用される可能性を排除しません。
その存在が主体的に自らの権利を遂行できるとき(自己同一的な「生の主体」であるとき)、つまり自分が自分の意志で何かをすることができるとき、その存在は固有の価値(inherent value)を持つ権利的存在とされ、その権利は不可侵なのです。
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参考
田上 孝一(2017)『環境と動物の倫理』、本の泉社